賃貸【退去届】の書き方!退去手続き&ぼったくり防止ポイント解説
これから退去予定ですが、退去届の書き方がよくわかりません。
何か注意点はあるのでしょうか?
はい!
退去費用でぼったくりに合わないためのポイントが沢山あります。
退去届の重要性と退去手続きの流れ
賃貸で退去する時には、必ず不動産会社や貸主/大家さんに、退去することを伝える必要があります。
「退去通知」「解約通知」「解約意思証明」とも呼ばれたりします。
これは、賃貸契約を終了させるための正式な手続きで、適切な対応をしないと思わぬトラブルに発展する可能性があります。
また、退去届の書き方が退去費用のぼったくり防止策も兼ねるため、とても重要です。
「退去届」の重要性
多くの契約書で、「貸主または不動産会社に解約の意思を伝えてから一定期間後に契約が終了する」という条項があり、入居者は退去すると伝えると、契約を終了する手続きをしたことになります。
客観的に退去を伝えたことが分かるように、「退去届」「解約通知」を不動産会社または貸主/大家さんに渡し、その事実を記録することが有効です。
これらの方法により、「いつ、誰が、いつまでに退去する意思を伝えたか」という事実を証明することができます。
国土交通省の標準契約書
第11条(乙からの解約)
乙は、甲に対して少なくとも 30 日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
賃貸の退去手続きの流れ
一般的には30日前が多いけど、契約書次第だから必ずチェック!
契約書には、解約する場合に、貸主に事前に通知しなければならないという条項が定められています。
この通知期間は契約によって異なり、1ヶ月前(30日前)というケースが多いですが、2か月前の場合もあるため、まずは契約書を確認しましょう。
例えば、契約書に「30日前までに通知すること」と記載されている場合には、60日前でも30日前に通知しても、どちらも有効です。
また、30日以上前に通知をしたのなら、退去日を早めたり、逆に遅くすることも可能なため、解約することが決まれば早めに通知することをオススメします。
書面、郵送、メールなど、記録に残る形で退去の意思表示を行うことで、万が一、トラブルになっても、自分が適切な手続きを行ったことを証明することができます
具体的には、不動産会社や貸主/大家さん側が「退去の意思を聞いていない」と、行き違いトラブルになると、記録が残っていない場合には、退去日から1か月分の家賃を余計に支払わなければならない可能性があります。
国土交通省の標準契約書
第11条(乙からの解約)
乙は、甲に対して少なくとも 30 日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
2 前項の規定にかかわらず、乙は、解約申入れの日から 30 日分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む。)を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して 30 日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
NPO法人の賃貸トラブルたすけ隊は、デメリットが多い「退去立会い」をオススメしません。
契約書に「立会いは必須」といった条項が明記されていない限り、借主は原則として、立会いを拒否することができます。
具体的には、契約書の条文「○条 明け渡し」など、乙(入居者)の退去について書かれている部分を確認しましょう。
契約書で退去立会いが必須のような表現がある場合には応じなければならないため、理由をつけて不動産会社や貸主/大家さんに退去立会いの免除をお願いしましょう。
国土交通省の標準契約書
第11条(乙からの解約)
乙は、甲に対して少なくとも 30 日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
退去立会いが必要な条文
- 解約の立会いは原則、乙(入居者)が行うものとする
- 乙(入居者)は明け渡し時までに賃貸物件内の通常の清掃を行い、甲(貸主)の検査を受け承認を得る
退去立会いはデメリットを詳しく
賃貸は、一般的に2年契約で更新料や短期解約違約金を払う内容が多いよ。
また、特約は無効を主張できるかもしれないんだ。
賃貸の更新料・短期解約違約金
賃貸契約には、更新料や短期解約違約金など契約終了時に支払う費用が定められているケースがあります。
更新料は、多くの賃貸契約で、2年ごとの契約更新時に、家賃の1~2ヶ月分を支払うことが求められます。
短期解約違約金は、入居から最初の更新までの間に契約を解除する場合に、家賃の1~2ヶ月分を支払うことが求められます。
これらの費用は、5か月分であっても裁判で認められた判例があり、無効になる可能性はありません。
しかし、契約満了『日』に解約手続きを行う場合には、更新料や短期解約違約金は発生しません。これは、契約満了日が短期解約に当たらない日で、更新前だからです。
つまり、契約満了日を意識して退去日を決めると、更新料/更新事務手数料や短期解約違約金の負担を節約することができます。
【賃貸契約の「更新」を詳しく】
賃貸契約の「特約」が無効になる理由
賃貸契約におけるの「特約」は、後々トラブルに発展する可能性が高いです。
退去時の費用負担に関する特約は、「全額負担」「ハウスクリーニング費用負担」とだけ書かれていて、具体的な金額が明記されていない契約は、最高裁裁判でも無効と判断されました。
なぜなら、平成17年12月16日の最高裁判決において、賃貸契約の特約には契約時に口頭での説明、特約に記名押印、そして特約の負担部分に具体的な金額の記載という3つの要件が求められると判示されているからです。
この3つの要件を満たさない特約は無効となる可能性が高いのです。
3つの要件の中で入居者が満たしていないと証拠を出せる、特約の負担部分に具体的な金額の記載が契約書に書かれているか、あるいは別紙として料金表が添付されているかを確認しましょう。
金額の記載がない特約は大手不動産会社も弁護士も逃げ出す
【賃貸契約の「特約」を詳しく】
専用の用紙、WEBやアプリなど注意点が多いです。
一般的に「退去届」といっても、実際には不動産会社や賃貸物件によって、その形式や方法は様々です。
契約時に受け取った書類、契約書の裏面、あるいはインターネット上の専用フォームなど、様々な方法が用意されています。
この、不動産会社が用意した書式やオンラインフォームには、契約書に記載されていない追加の条件や、入居者に不利な条項が盛り込まれている場合があります。
例えば、契約書に記載のない負担を請求される場合、その部分に二重線を引いて押印し、「この項目には同意しません」という意思表示をすることが大事です。
オンラインフォームで削除が出来ない場合には、メールで上記内容に同意しないと旨も一緒に送り、記録に残しましょう。
電話は避け、メールに書面なら配達記録など退去届を出した証拠を残し、オンラインの場合には、画面のスクショ・撮影して保存しておきましょう。
よくある不利な内容
退去後に○○不動産が請求した内容に入居者は異議申し立てしません。退去時にクリーニング代5万円を支払う(契約書記載なし)
オンラインフォーム
WEB(アプリ)では、退去立会い日/時間を入力したり、契約書に無い条件に同意しないと退去届が出せない悪質な仕様になっていることから、このメールで退去届を提出いたします。
オンラインでしか退去届を受け付けないとする場合、契約書に無い条件や入力しないと進めない現状の改善をするか、会社印が押された認めていないことを証明する書類を提示ください。
これらのやりとりは証拠として保管し、不動産協会や都道府県の不動産課に報告するために使用することがあります。
「諸事情」や空白でもOKだよ。
不動産会社が用意した退去届・解約通知や、インターネット上の専用フォームには、多くの項目が設けられています。
これらの項目は、不動産会社のデータ収集が目的であり、必ずしもすべてを記入する必要はありません。
賃貸の退去理由の書き方は、詳細な理由を書く必要はありません。
もちろん空白でもいいし、「諸事情により」「特に理由はありません。」といった表現でも十分です。
退去する日、「どこ」「だれ」「連絡先」が分かればOK!
賃貸契約の退去届・解約通知には、必ずしも決まった書式があるわけではありません。
しかし、相手に正確にあなたの意思を伝えるために、いくつかの重要な項目を記載することが大事です。
まず「いつ退去したいのか」、これは賃貸契約で定められた解約予告期間を守るためにも非常に重要です。
次に「どこの物件の誰が退去するのか」「退去後の連絡先(メール/LINE)」を書くことで、カギの返却や退去費用のやりとりなど今後の手続きを記録に残しながら、スムーズに行えます。
もし敷金の返金が見込める場合には、「口座番号」も合わせて書きましょう。
修繕や退去費用のぼったくり、特約など当てはまる内容を退去届に書こう。
退去立会い拒否を伝える
NPO法人の賃貸トラブルたすけ隊では、退去立会いが入居者にとってデメリットが多いことを理由にオススメしません。(STEP1-2)
あなたが退去立会いを拒否した事実を残すため、「退去立会い拒否」の意思を退去届に書くことを強くオススメします。
国土交通省の標準契約書
第11条(乙からの解約)
乙は、甲に対して少なくとも 30 日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
退去立会いが必要な条文
- 解約の立会いは原則、乙(入居者)が行うものとする
- 乙(入居者)は明け渡し時までに賃貸物件内の通常の清掃を行い、甲(貸主)の検査を受け承認を得る
退去立会いはデメリットを詳しく
退去費用のぼったくりを牽制
「入居者が負担する必要のない費用を請求される」というトラブルは、決して珍しいことではありません。
これは、多くの入居者が契約や退去手続きに関する知識が十分でないことを、悪質な不動産会社や貸主/大家さんが利用しているからです。
彼らは、ほとんどの入居者が「ぼったくり」に気づかず、不当な請求に応じると経験から知っています。
さらに、このような行為は、口頭でのやり取りや電話での連絡など、証拠が残りにくい方法で行われることが多いのも特徴です。
後から「こんなはずではなかった」と主張しても、証拠がないために泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。
このような事態をさけるために、「通常損耗」「経年変化」といった、退去について勉強していて、ぼったくりは許さないという姿勢を退去届に書くことを強くオススメします。
通常損耗や経年変化など貸主が負担する部分があることを知っていると書くことで、不当な請求をされないように牽制することになります。
また万が一、退去後に不当な請求をされても、退去届に書いた内容を証拠に反論でき、自分が適切な手続きをした事実を主張することができます。
礼金って返金されないのですか?
退去費用ってどうやって計算するんですか?
何も知らないカモが来た。
ぼったくりしやすそうだ。
前知識がないと、ぼったくりリスクが高まります。
失敗しないために、知識をつけておきましょう。
修繕の再依頼でぼったくりを牽制
「入居中に何度も修繕を依頼したのに、一向に対応してもらえない」というトラブルは、決して珍しいことではありません。
しかも、放置されたままの状態で退去すると、「入居者が放置した」と責任転嫁され、修繕費用を請求されるリスクも高まります。
このような事態を避けるために、「修繕の再依頼」を退去届に書くことを強くおすすめします。
修繕の放置や責任が相手側にあることを明確にしておくことで、不当な請求をされないように牽制することになります。
また万が一、退去後に修繕費用を請求されても、退去届に書いた内容を証拠に反論でき、自分が適切な手続きをした事実を主張することができます。
【入居中の修繕依頼を詳しく】
特約の無効を主張する
契約書の退去時の費用負担になる特約に「全額負担」「ハウスクリーニング費用」など具体的な金額が明記されていない状態で、特約の無効を主張したい時に追記しましょう。(STEP1-3)
あなたが特約の無効を主張した事実を残すため、「無効を主張する根拠」「根拠がない請求は拒否」「反論には根拠を記載すること」を退去届に書くことを強くオススメします。
【賃貸契約の「特約」を詳しく】
退去届は必ず、控えや記録を残そう。
不動産会社が用意した退去届・解約通知や、インターネット上の専用フォームなら、下記の項目を書き、他は空白や「諸事情により」「特に理由はありません。」といった表現で十分です。
所定の様式が無い場合には、退去届の例文を参考にメールやLINEで記録に残るように送りましょう。
書面で送る場合には、退去届を2部印刷し、割印を押した上で、1部を配達記録付の郵送をしましょう。
退去届の例文【基本】
退去日 :202○年 ○月 ○日
物件名 :○○アパート ○○号室
現在の住所:○○○、○-○-○○
契約名義 :○○○○
連絡先 :○○○@gmail.com
敷金の返金に必要な口座情報
備考
【退去後の連絡について】
仕事の都合上、連絡は絶対にメールで連絡ください。
通知したにも関わらず電話があった場合には、担当の変更及び会社印が押された謝罪文を求めます。
【原状回復費用について】
退去費用を請求する側には、その根拠を明確に示す証明責任があります。
具体的には、各請求項目ごとに、入居時と現在の状態を比較できる写真、通常の使用による経年変化ではなく、入居者の過失による損傷であることを具体的に説明した資料、そして、費用計算の根拠となる詳細な内訳(㎡や単価、減価償却率など)の開示を求めます。
これらの情報が不足している請求については、いかなる理由があろうとも応じません。
もし、証明責任を放棄した請求や開示された情報に虚偽があった場合、架空請求をしたと判断し、全てのやり取りは証拠とします。
明細は、「賃貸トラブルたすけ隊」の退去費用明細のページで確認して返答いたします。
退去届の例文【追記:退去立会い拒否】
備考
【退去立会いについて】
契約書の条文に退去立会いの記載がないため、退去立会いを拒否いたします。
詳細は、「賃貸トラブルたすけ隊」の退去立会いはデメリットのページで確認ください。
退去届の例文【追記:修繕の再依頼】
備考
【依頼中の修繕放置について】
○月○日に○○不動産に○○の修繕依頼をメールをし対応中でしたが、その後放置されている状況です。
退去時に請求される可能性から、早急な対応をお願いします。
退去届の例文【追記:特約の無効を主張】
備考
【特約の条件不備による無効を主張】
特約(ハウスクリーニング費用、○○)に、具体的な金額の記載がないため、最高裁平成17年12月16日判決、消費者契約法10条、国土交通省のガイドラインを根拠に、この特約が無効であると主張します。
甲から「特約は有効」だと反論がある場合、最高裁の裁判判例や法律など同等の根拠を提示ください。
根拠の提示が無い場合、どのような表現(お願い・交渉)を用いようとも、根拠のない請求を強要した架空請求と判断し、全てのやり取りは証拠とします。
詳細は、「賃貸トラブルたすけ隊」の特約のページで確認ください。
退去の手続きは、退去届の提出だけでなく、様々な準備や手続きが必要です。
慌ただしい引越しシーズンに、忘れがちになったり、トラブルに繋がる可能性のある項目を、順を追って紹介します。
退去届の良くある質問と事例
質問 | 敷金はいつ帰ってくるの? |
質問 | 退去費用はいつ頃請求されるの? |
質問 | カギはどうやって返却するの? |
質問 | 退去届は誰に出すの? |
質問 | 提出後に日程の変更していいの? |
質問 | 提出後に退去キャンセルしていいの? |
敷金はいつ帰ってくるの?
一般的には、退去後の全ての対応が完了後に返金されます。
ただし、修繕が必要な場合は、原状回復費用が敷金から差し引かれることがあります。
退去費用はいつ頃請求されるの?
一般的には、退去後に部屋の状況を確認された後に提示され、退去から2週間~1ヶ月後になります。
引越しシーズンなど数か月後に連絡がくることもあります。
カギはどうやって返却するの?
一般的には、郵送や店舗にもっていくか、退去立会いをするならその時に返却します。
カギを返却したことが記録に残るように配達記録や、返却書類をスマホで写真に残しておきましょう。
退去届は誰に出すの?
一般的には、家賃を支払っている不動産会社や貸主/大家さんに出します。
契約を仲介業者でしても、退去届を提出するのは仲介会社では無いので、契約書を確認しましょう。
退去届の提出後に日程の変更していいの?
はい。退去日は事前に通知をすればよく、変更について決まりはありません。
予定が変更になった場合には早めに記録に残しながら伝えましょう。
退去届の提出後に退去キャンセルしていいの?
はい。契約を継続するのは入居者の自由です。
キャンセルをしても違約金やキャンセルが出来ないということは絶対にありません。
予定が変更になった場合には、早めに記録に残しながら伝えましょう。