社宅賃貸の注意点と対策・契約・退去費用、名義変更の完全ガイド
これから、会社名義の社宅に住むことになりました。
何か注意点はありますか?
はい。社宅の契約は、個人の賃貸契約と全く違います。
個人の賃貸契約は、ガイドラインや消費者契約法で守られるけど、社宅の契約は適用外なんです。
だから、特約は全て有効だし減価償却もしないで全額負担です。
!!!!?
対策はないのですか?
はい。この記事では、社宅契約の基礎から退去費用を抑えるための対策、社宅の退去費用の負担、社宅↔個人の名義変更まで、社宅に関する情報を詳しく解説します。
社宅の契約とは?社宅の契約が消費者契約法の適用外になる理由
社宅は、会社が借りてくれた部屋に住むという特徴があります。
この「会社が借りた」という点がポイントで、会社とオーナー側の間で契約が結ばれます。
ガイドラインや消費者契約法は、立場が弱い消費者を保護するために制定されています。
そのため、法人同士の契約には適用されず、会社と不動産会社の間で結ばれる社宅の契約は、消費者契約法の適用外となります。
また、社員という立場上、あなたが会社との関係を悪化させたくないという気持ちから、オーナー側と強く対立することを避けたくなるかもしれません。
そのため、泣き寝入りになってしまうケースがとても多いです。
社宅の契約で注意すべきポイント
じゃあ、社宅住まいの私たちは、泣き寝入りするしかないの?
すでに契約済みなら、特約や原状回復費用の全額負担は、ガイドラインや消費者契約法の適用外だから、どうしようもないね。
でも、退去費用を減らすための予防とぼったくり退去費用の対策は、今からでもできるよ。
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社宅契約前にやるべきこと!ガイドラインと消費者契約法を適用させる対策
社宅契約を予定している方は、自分の会社もしくはあなたの代わりに相手側不動産会社とやりとりをしてくれている社宅サービスに、以下の内容と同じような特約を追加するよう要望しましょう。
この特約があれば、ガイドラインと消費者契約法に基づいた退去費用を請求することができます。
本契約は乙の社員が住居として利用するため、退去に伴う原状回復費用については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」及び消費者契約法に沿って算定する。
退去費用は、ガイドラインや消費者契約法に沿ってください
という内容ならOK
社宅退去時の費用を減らすための3つの予防策!入居中にできることを解説
部屋で設備の故障があれば早めに修理
設備の故障を放置すると、入居者の負担になる可能性があり、退去時に請求されることがあります。そのため、早めに修理を依頼しましょう。
においの消臭に気を付けよう
においは、放置すると染みついて取り除きにくくなり、高額な費用がかかります。普段から消臭を心がけましょう。
退去時にしっかり掃除する
退去時に余計な費用を取られないように、普段の生活で汚れがたまりやすい場所を重点的に掃除しましょう。
退去費用のぼったくりを防ぐためのチェックポイント
退去費用で負担する内容とぼったくりって、どうやって判断するの?
オーナー側からの請求書の明細で判断できます。
自分で壊したり汚したりしていないか、壊したり汚したりしたとしても、請求されている面積や単価が多かったり高かったりしないか、チェックしましょう。
自分で壊したり汚したりしていないかを証明する証拠
退去時に、最初からあった傷や老朽化による故障の費用を請求されることがあります。
これは、オーナー側が入居者が故意につけた傷や故障と間違えてたり、わざと負担させようとしている可能性があります。
どちらの場合でも、請求書に最初からあった傷や故障の費用が含まれていないか、必ず確認し、支払う必要はないので、拒否しましょう。
入居者が壊したことを証明する義務はオーナー側にありますが、自分も壊していないことを証明するために、入居チェックや入居中に修繕を依頼した記録を残しておくと安心です。
これらの記録があれば、オーナーや管理会社に請求を自信をもって拒否することができます。
請求されている面積や単価に注意する
退去費用(原状回復)とは、ツギハギ状態でも補修すればよいとされ、それ以外の部分は負担する必要はありません。
請求の内容が部分補修以外のリフォーム代も含まれていないか、請求書の明細にある㎡や単価をチェックしましょう。
㎡は社宅の項目別チェックと明細を比較し、単価は「くらしのマーケット」などで相見積もりを取って比較するとわかりやすくなります。
社宅の項目別チェック
全体【ハウスクリーニング 等】
- ハウスクリーニング費用
-
入居者が負担する義務
特約が無い限り、通常の掃除(クイックルで大掃除程度)をしていていれば負担義務なし
どこまでが負担する範囲・金額
掃除をしていない部屋全体が範囲。
残置物などがあれば別料金もかかる
全額負担なので1式でOK
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
特約が無効になる可能性
ガイドラインや消費者契約法の対象外なので特約があれば全額負担
備考
特に水回り・キッチンの油汚れ・ゴミの残置処分を請求されないように退去時の「通常の清掃」がとても大事
- カギの交換費用
-
入居者が負担する義務
特約が無い限り負担義務なし。
無くしたら負担
どこまでが負担する範囲
カギ組み換えなどで無くした鍵が使えない状態までしなければならない
全額負担なので1式でOK
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
特約が無効になる可能性
ガイドラインや消費者契約法の対象外なので特約があれば全額負担
備考
カギを無くしたのが1本なのにシリンダー取り換えや新品カギの請求されたらほとんどボッタくり
原状回復する負担義務はツギハギ(カギ組み換え)・最低限(新品のシリンダー取り換えじゃなくて良い)の支払いでOK
カギを新品にしたいなどの費用はオーナー負担
- タバコ・ペット・柔軟剤の香害 消臭
-
入居者が負担する義務
ペット・喫煙・柔軟剤などが原因の変色や「におい」は全て負担
どこまでが負担する範囲
全室を負担。
染みついて「におい」が落ちないなら追加料金(クロス全面張替え費用や強力消臭代)を支払う義務あり
全額負担なので1式でOK
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
柔軟剤などあなたが好きな「香り」でも、オーナー側が「くさい」と判断したら負担
「におい」の判断はオーナー側の権利なので対策が大事
床【フローリング・畳 等】
- フローリングのキズ・汚れ
-
入居者が負担する義務
色褪せや古くなった、生活キズなら負担義務なし
自分で壊したら負担
どこまでが負担する範囲
㎡単位。
一式はダメ。㎡と単価を必ず確認!
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(全部じゃなく部分塗装)・最低限(新品張替えでは無くパテ埋め)の支払いでOK
型番がない・色がツギハギやパテ埋めだと汚いことが理由で新品に張り替えたいなどの費用はオーナー負担
- クッションフロア(CF)・カーペット
-
入居者が負担する義務
色褪せや古くなった、生活キズなら負担義務なし
自分で壊したら負担
どこまでが負担する範囲
壊した部分が繋がっている全部の範囲
一式はダメ。㎡と単価を必ず確認!
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(全部じゃなく部分張替え)・最低限(新品張替えでは無く㎡単位)の支払いでOK
型番がない・色がツギハギやだと汚いことが理由で新品に張り替えたいなどの費用はオーナー負担
- 畳(たたみ)
-
入居者が負担する義務
特約が無い限り負担義務なし
自分で壊したり汚したらその枚数だけ負担
どこまで負担する範囲・金額
特約があれば畳の枚数分の金額を負担
アイロン跡などがあると1畳単位で負担
全額負担なので1式でOK
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
特約が無効になる可能性
ガイドラインや消費者契約法の対象外なので特約があれば全額負担
備考
キズ付けたのが1畳なのに2~4畳の請求や新品料金で請求されたらほとんどボッタくり
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(1畳分)・最低限(新品では無く表替え)の支払いでOK
畳が1枚だけ色がツギハギだと嫌などが理由で新品にする費用はオーナー負担
壁【クロス・襖(ふすま) 等】
- 壁紙(クロス)
-
入居者が負担する義務
色褪せや古くなった、生活キズなら負担義務なし
自分で壊したら負担
どこまでが負担する範囲
㎡単位。
一式はダメ。㎡と単価を必ず確認!
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(全部じゃなく部分張替え)・最低限(新品張替えでは無く㎡単位)の支払いでOK
型番がない・色がツギハギやだと汚いことが理由で新品に張り替えたいなどの費用はオーナー負担
- 巾木(はばき)
-
入居者が負担する義務
色褪せや古くなった、生活キズなら負担義務なし
自分で壊したら負担
どこまでが負担する範囲
㎡単位。
一式はダメ。㎡と単価を必ず確認!
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
巾木を壊すことはあまりなく、請求されたらほとんどがクロス張替えのためのボッタくり。
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(全部じゃなく部分張替え)・最低限(新品張替えでは無く㎡単位)の支払いでOK
クロスのツギハギが嫌でキレイにするために巾木を張り替える費用はオーナー負担
- 襖(ふすま)・天袋・障子(しょうじ)
-
入居者が負担する義務
特約が無い限り負担義務なし
自分で壊したり汚したらその枚数だけ負担
どこまで負担する範囲・金額
特約があれば襖・天袋・障子の枚数分の金額を負担
ラクガキなどがあると1枚単位で負担
全額負担なので1式でOK
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
特約が無効になる可能性
ガイドラインや消費者契約法の対象外なので特約があれば全額負担
備考
キズ付けたのが1枚なのに2~4枚分の請求や新品料金で請求されたらほとんどボッタくり。
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(2枚で1セットでも1枚分)・最低限(新品では無く補修)の支払いでOK
2枚で1セットだから色合わせしたい、古くなったから新品にしたいなどの費用はオーナー負担
- 柱・建具・ドア
-
入居者が負担する義務
色褪せや古くなった、生活キズなら負担義務なし
自分で壊したら負担
どこまでが負担する範囲
部分・箇所の単位。
相見積もりで正確な金額が分かるので安い方を選べる
備考
補修ではなく新品料金で請求されたらほとんどボッタくり。
入居者の原状回復する負担義務はツギハギ(全部じゃなく部分塗装)・最低限(新品では無くパテ埋め)の支払いでOK
型番がない・色がツギハギやパテ埋めだと汚いことが理由で新品にしたいなどの費用はオーナー負担
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退去費用でぼったくりをされたらすること・注意点
退去費用の請求書が来たけど、よく見たら、ぼったくりされているみたい。
今後、指摘する時に注意することってありますか?
まず、やりとりはメールやLINEで残しておいて、会社にぼったくりの根拠や、指摘する内容を報告しましょう。
ただし、社宅はガイドラインや消費者契約法の適用外ですので要注意!
ぼったくりを防ぐには、記録を残そう
電話が掛かってきた場合は、その場で記録に残せなくても、後からメールでやりとりの内容をまとめて、送り返しましょう。
会社に報告する際にも添付すると、自分の主張が正しいことを証明できます。
また、記録を残すことで、言った言わないを防ぎ、テキトーな説明を抑制することができます。
ぼったくりを指摘する前に自分の会社に報告
オーナー側から退去費用の連絡が先にされると、あなたが問題を起こしたように思われる可能性があります。
そうなると、会社によっては、揉めたくないから払って終わらせるよう言われるかもしれません。
そのため、ぼったくりを指摘する前に、会社に報告をして、自分の主張が正しいことを伝えておくことをおすすめします。
社宅の退去費用で、○○の部分をぼったくり請求されています。
ぼったくりの根拠として入居時の写真・相見積もり書・請求金額の根拠(たすけ隊HPのURL)があります。
根拠に基づいて指摘してよいでしょうか?
社宅の退去費用の根拠は2つだけ!
社宅の退去費用で有効な根拠は、入居時のチェック記録と相見積もりだけです。
間違った根拠を伝えると、相手に分かっていないと思われるので社宅の項目別チェックと相見積もりでチェックしましょう。
また、入居者に負担義務があるように装った請求をして、指摘されたら言い訳をしてくることが多いです。
最初に、自分が負担する義務以外の請求は断ると伝えることで、テキトーな請求が減る効果があります。
誤魔化し例
オーナーから入居者に支払って欲しいと「お願い」されたので伝えただけで騙していません
対策メール 例
入居者が負担する義務のある金銭は支払いますが、オーナー負担分の請求は一切お断りいたします。
根拠なく請求した場合には架空請求詐欺をしたと認識します。
請求書の各項目が、どのような理由で請求しているのかの説明がありませんので費用を請求する側の証明責任で記載ください。
社宅の名義変更は退去して再契約?費用や手続きを抑える方法も解説
今の会社を辞めることになり、会社名義から個人に社宅の名義を変更しようとしたのですが、お金がかかるといわれました。
名前を変えるだけですよね?
社宅の名義を変更する場合、本来は退去して新しい契約を結ぶ必要があります。
退去せずにそのままの状態で手続きをしたい、契約内容もそのまま引き継ぎたい、契約金の支払いをナシにしたい、というオーナー側にメリットがないわがままをお願いしている立場です。
名義変更をしてもらえるのが当たり前のような姿勢だと、オーナー側から断れるきっかけになるでしょう。
そうなんですか?詳しく教えてください。
本来の退去して再契約する場合の費用と手続きとは?
本来なら、以下の費用と手続きが必要になります。
- 費用
敷金、礼金、仲介手数料、家賃保証会社の保証料、火災保険料など
- 手続き
退去届の提出、家具・家電の持ち出し、原状回復、新しい契約の締結
社宅では必要がなかった家賃保証会社の加入や、預り金である敷金は名義だった会社に返還した上で、入居者から再度預かります。
また、法人とは契約内容も異なるため、契約書の変更や仲介手数料などの費用が発生します。そのため、社宅から名義変更という仕組みはなく、クレジットカードなどと同様に、費用や手続きが伴う再契約になります。
費用や手続きを抑える方法
もし、社宅の名義を個人名義に再契約ではなく費用や手続きを減らしてもらったり、条件を緩和してもらったりお願いしたい場合は、オーナー側に交渉が必要です。
交渉する際は、以下のような点を意識しましょう。
- 礼儀正しく、丁寧に話をする
- オーナー側のメリットも提示する
- 交渉前に、自分の希望を明確にする
手土産のお菓子を用意したり、礼金を1か月分追加で払うなど、オーナー側のメリットも準備した上で、家賃をそのまま据え置きにしてもらいたい、入居したままでそのまま住み続けたいなど自分の希望を明確にすると、オーナー側も判断しやすく交渉が成功しやすくなるでしょう。
それでも、仲介手数料、家賃保証会社の保証料、火災保険の支払いは必ず必要です。
出来るだけ費用や手続きを抑えたいなら、交渉=お願いの気持ちを忘れずに対応しましょう。
このページを一言でまとめると
会社が揉めたくないと泣き寝入りになるケースが多いので、事前に報告・連絡・相談で対策が大事!
契約前に会社の社宅担当へ、このページを伝えるのがオススメです。
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